いつもそこにあった自然の魅力に気づいた
元々都会志向が強かったという板さん。「釧路市で生まれ育ったものの、自然のことは何も知らなかった」と言います。しかし10年前、英語を教わっていた鶴居在住のカナダ人教師に連れられて初めて足を踏み入れたのは広大な敷地を待つ馬牧場で、小高い丘の上に建つ手作りの山小屋。
電気も水もない、薪ストーブだけが置かれた山小屋での、英語のレッスン。この体験が板さんのそれまでの意識を一変させることになります。「どこか遠い国のような風景と、薪ストーブの温もりがある。ただそれだけなのに、こんな夢のような場所があったんだ、って」。板さんの心がコトンと動いた瞬間でした。
そんな時、鶴居村の中古の家が売リ出されたという話を耳にします。鶴居村への思いと、持ち前の行動力。全てが揃った板さんは、この家を別荘とし、拠点にしながらネイチャーガイドのキャリアをスタートさせたのでした。
5年前、板さんは中古物件を自宅として手に入れ、鶴居村へ本格移住しました。東京にいる息子さんからのアドバイスを受け、インターネット経由で別荘をペンションとして貸し出すように。これが外国人を中心に広まっていきました。
「ガイドを通して一緒に自然を回り素晴らしさを共有できることはとっても幸せ」と板さんは語ります。季節によって全く違う表情を見せる鶴居村。夏は湿原をカヌーで散策し、冬は丹頂の1日を追いかける。そんなここの環境でしかしえない体験してもらうと、第二のふるさとと思って来てくれるリピーターさんや、10年来お付き合いしているお客さんもできたのだと言います。
自宅にサウナがあり、すっかりその魅力にハマったという板さん。マナミキャビンにもサウナを置いたところ、お客さんは大喜び。ロシア製の薪ストーブの本格的なもので、100℃を超える温度も可能だそう。空前の「サウナブーム」の今、整いたい人達からの注目が集まりそうです。
「鶴居に行ったら、良いサウナがたくさんあるよ」と話題になるような、サウナの村になったら楽しいな、と板さんは夢見ています。