さまざまな縁に導かれた、温泉ホテルオーナー

つるいむら湿原温泉ホテル 代表取締役社長
阿部 由香
釧路市出身。高校卒業後に東京へ。それまで当たり前に感じていた故郷の魅力を再確認する。現在、釧路エリアのコミュニティ放送局FMくしろ代表取締役社長、つるいむら湿原温泉ホテルや釧路ロイヤルインなどを経営する株式会社阿部ビル代表取締役社長など兼任。

大好きな鶴居村で、愛される場となれるように

三つの温泉宿泊施設がある鶴居村。その一つが、以前、湿原温泉と親しまれていた民宿跡地の『つるいむら湿原温泉ホテル』です。豊かな木の香りにつつまれながらゆっくりできると好評で、丸い樽型が特徴的なバレルサウナを目当てに来る人もいます。源泉かけ流しの弱アルカリ性、肌にやさしい温泉は古くからのファンも多く、「地域のみなさんに親しまれていた呼び名は残したく、ホテルの名前を決めました」とオーナーの阿部さん。酪農地帯が広がる鶴居村の牧歌的な風景にインスピレーションを感じ、インテリアは北欧テイストに。心地よく過ごしてもらえるよう色合いや肌触りなど、家具の一つひとつにもこだわっています。ショップの商品セレクトや掃除、SNS更新まで自らなんでもチャレンジ。忙しくもここで働くことを楽しんでいます。

元々、祖父の代から鶴居村とは縁があったこと、民宿跡地のことを近くに住む縁戚に聞いたこと、趣味のゴルフが縁で知り合った鶴居村の人や村の協力もあって跡地周辺の土地も案内してもらえたこと、温泉を引き継ぐことができること…様々な縁で導かれるように、自然と温泉を愛する阿部さんが、湿原温泉を復活させたいという思いで『つるいむら湿原温泉ホテル』を開業しました。ちなみに、レストランシェフもラジオ局FMくしろの縁で、腕と人柄にほれ込んでお願いしたそうです。「私は本当に縁に恵まれて、今があると思っています」。

なにより鶴居村がとても好きだといいます。「気のめぐりというのか、鶴居村の空気が自分に合っていて落ち着くんです」。釧路市から向かうと、釧路湿原を横目に酪農地帯へと続く美しい景色、阿寒連峰を望み、タンチョウが出迎えてくれる。今まで当たり前すぎて気づけなかった大自然の素晴らしさに改めて感動を覚えます。海外からもタンチョウはじめ自然の魅力を目当てに来る人も多い鶴居村。空港も近くアクセスも良いので鶴居村を拠点に周辺を観光したり、阿部さんのように鶴居村に滞在し「居心地の良さに癒される」のもオススメだそうです。

人との縁を大切にしている阿部さんにとって、鶴居村の人々との出会いも楽しい刺激となっています。「魅力的な人が多くていい人ばかり。だからなのか、ここには魅力のある人が集まってくるみたい」。毎年移住者も増え、温泉や畑など鶴居村に楽しみを見つけて足を運ぶ人が多いのも納得だそう。「ホテルタイトさんには温泉のことを教えてもらったり、アドバイスをいただいたり。同業者にも関わらず、開業することを歓迎してくれました」と、人の優しさにも癒され、感謝が尽きないそう。一丸となって地域を盛り上げる雰囲気も大好きで、自分も村の一人として役に立ちたいという阿部さん。そして、地域の皆さんにもっと愛される施設となれるように、とやるべきことも尽きないようです。