クラフトビールで地域、自然、人々を結ぶ醸造家

Brasserie Knot 代表取締役
植竹 大海
埼玉県出身。東京の専門学校(バイオテクノロジー科)で、微生物や発酵について学ぶ。ビール会社に就職後、道内・国内でビール醸造所の立ち上げに関わる。2021年、家族で鶴居村に移住。翌年、茂雪裡小学校跡に『Brasserie Knot(ブラッスリー ノット)』を開業する。

蘇った小学校で、クラフトビール文化と技術者を育てる

鶴居村のビール醸造所『Brasserie Knot(ブラッスリー ノット)』で代表を務める植竹さん。富良野や全国各地でビール醸造所の立ち上げに関わったのち、より技術を磨くためカナダへ渡るもコロナ禍に。やむなく帰国という状況に、それならば自分でビール醸造所をやろうと決意します。北海道の中でもクラフトビールの醸造所があまりなかった道東で、と構想。醸造所に適した物件を探していたところ、廃校になった茂雪裡小学校に出会います。天井が高く、建物の中に柱がない体育館は条件がピッタリ。廃校の活用も『ビールづくりと人づくり』のコンセプトに合っていました。

Knotのビールは道東限定商品を含め定番は5種類、鶴居村で収穫されたブドウを使ったクラフトビールなど限定商品も随時展開しています。茂雪裡地区の水源である阿寒岳の伏流水を使っているのも特徴で、麦の殻などの廃棄物は牛の飼料として利用可能。「鶴居村の基幹産業である酪農に役立ててもらえるなら、ここでやる意味があったんだと思えます」。鶴居村の人々に温かさにも触れ、「よそ者の自分たちを受け入れてくれて、ビールのファンにもなってくれて。地域に愛されるのは本当にうれしいです」と植竹さん。ここで事業を始めて、本当によかったと言います。

「道東地域に根ざしたビールをつくる」。鶴居村のクラフトビールを、たくさんの人に知ってもらおうと各地、営業に飛び回っています。釧路市や空港が近く、帯広方面やオホーツクへも行きやすい道東の中心という立地は、仕事の利便性に加えプライベートも充実させてくれます。アウトドア派の植竹さんにとって「野山もちろん、ちょっと足を運べば海も湖もあって遊びも満喫できそう」と、自然豊かなところも魅力のひとつ。奥さんと二人のお子さんも北海道が大好きで、鶴居村を気に入っています。子育てに手厚いところが安心で、お子さんが元気に外遊びしている姿を見ると、鶴居村に来てよかったと実感。「豊かな自然の中で暮らしたかった」という家族のライフスタイルが確立できているようです。