子供たちがタンチョウと自然に触れる機会を増やしたい
2007年、『鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ開設20周年事業』の一環で、村民の声をたくさん聴いたことをきっかけに、「今後、村でやっていきたいことが明確になった」という音成さん。
当たり前のようにタンチョウが居る環境に慣れてしまっている村の人に、「タンチョウが身近にいて、共存していることの素晴らしさを認識してほしくて。もっと関心を持ってもらうような活動をしたい」と鶴居村で生活する決断をしたのだそう。
「タンチョウコミュニティ」を設立して11年。当時から続けている活動の一つに「タンチョウえさづくりプロジェクト」がある。「地域住民が給餌活動に関わることで、タンチョウやタンチョウ保護に興味関心を持ってもらうことに繋がれば」との想いから、地元の酪農家さんの協力を得て、畑の一部にタンチョウの餌用にデントコーンを作っている。毎年、村内の学校や地域団体と一緒に、春に種を植えて秋に収穫。出来上がった餌は、タンチョウ保護の最前線となる給餌場に届け活用されるのだ。
6年前「サルルンガード」という小学3〜中学3年生の希望者で成り立つ団体が発足した。子供たちの自主性を尊重した活動を行っており、団体名の「サルルンガード」は子供たちで考えて決めたのだとか。毎年、何をやるか子供たちで話しあい、タンチョウを見に来ている観光客へのアンケート調査や、ザリガニ捕りやワカサギ釣りなど自然に触れる体験など子供たちの思いを形にするため、音成さんはコーディネートしている。
2018年、「鶴居村タンチョウと共生するむらづくり推進会議」が発足。音成さんは鶴居村教育委員会のタンチョウ自然専門員として事務局を担当。今後、タンチョウの給餌が厳しくなるかもしれないという状況の中、鶴居村としてタンチョウのために何ができるか、農業や観光を推進しながらタンチョウとの共生を考える大事な役割を担っている。「今まで自分が活動してきたことが活用されたら嬉しい」と語ってくれた。