自然に寄り添うヒンメリ作家

toivoa
児島舞
埼玉県出身。小さい頃から北海道での生活に憧れがあり、旭川の教育大学へ進学。卒業後は教員として、浜中で7年、釧路で3年ほど生活した後、鶴居村へ移住。現在は教員を退職し、男の子2人と女の子1人の子育てをしながら、ヒンメリ作りを行っている。

ヒンメリを眺める時間が、誰かの“心地よい時間”になりますように

麦わらと糸で作るフィンランドの伝統装飾ヒンメリ。フィンランドへ訪れた際、ヒンメリが吊るされ、ゆらゆらと揺れる姿を見て虜になったという児島さん。「いつか自分で作ってみたい」という想いが生まれたのだそう。

5年前、鶴居村に移住してから、村内の女性が集まり活動するハートンツリー主催の『ハーブンマージュ』に参加。ハーブを育てながらガーデンの手入れをしたり、チーズやリースを作ったり、自然に触れながらもの作りする中でヒンメリへの想いが浮上します。
「今まで自分がやりたいと思ったことを伝えるのは恥ずかしかったけど、もの作りに共感してくれる人たちに会えて嬉しかったですね。鶴居に来てなかったら、ヒンメリ作りしていなかったかも」と当時を振り返ってくれました。

「ヒンメリは、種を蒔くところから始まるんです」
材料となる“麦わら”の入手に悩んでいたところ、「育てればいいよ」とアドバイスを受け、自宅周りの土地を使って麦を育てることにしたそう。ヒンメリを作るために種を蒔いて、大きくなったら収穫し乾燥させる。下ごしらえの時間が長いけれど、子どもたちと一緒に種を蒔いたり、時間をかけて作り上げることを楽しんでいるそう。
材料入手に悩んていた児島さんでしたが、現在はヒンメリを習いに来た酪農家さんが畑を貸してくれ、麦わら畑は巨大に!たくさん仕入れることができるようになったと嬉しそうでした。

家を建てようとなった時、鶴居村を選んだ理由は、「作られた自然ではない感じの酪農風景が好きだったから」。草原に牛が放牧され、すぐ近くに森があって、子ども達は学校帰りに花を摘んだり、自然に触れ合える今が理想の生活だったのだそう。
3人の子を持つお母さんでもある児島さん。子育ては忙しいけど、1日のうちのちょっとした時間にヒンメリを眺めボーッと眺めていると心が落ち着くとのことで、児島さんの家中にはヒンメリが吊るされ、常にヒンメリが視界に入りました。
「つくることは、祈ること」と言う児島さん。「忙しい毎日を送る誰かに、ボーッとする時間を感じてもらえますように」と想いを込めて一つひとつ丁寧に作られています。

「子ども達が大きくなると生活環境も変わるかもしれないけど、しなやかに柔軟に、自然な流れに合わせてヒンメリを作りながら暮らしていたいな」と、穏やかにヒンメリを作りながら語ってくれました。