鶴居村の暮らしを表現するパティシエ

アンジェリカキッチン代表
松原猛雄
釧路市出身。ホテルや冠婚葬祭業の調理部門で長年勤務し、洋食と製菓の経験を積んだのち、独立。現在はウッディホテル&レストラン夢工房のシェフとして厨房を取り仕切るほか、アンジェリカキッチン代表として「鶴居の小さなケーキ屋さん」や外部への料理提供などの事業を展開している。

「ケーキ愛」から始める、鶴居村での豊かな暮らし

今も昔もケーキが大好きという松原さん。かつてホテルの洋食部門で腕を振るっていた当時も、時間を見つけてはベイカー(製菓担当)の同僚からケーキの作り方を教えてもらっていたそう。「美味しいケーキを食べたら、自分で作りたくなってしまうんです。」
ある時、コンテストに松原さん自ら考案したケーキを出展。すると結果は、北海道代表となり全国大会に出場!なんと9000人のうちの上位20名に選ばれるという大快挙を達成したのです。
それから20年。パティシエとして、ケーキづくりと向き合う道を歩んできました。

現在、鶴居村にてウッディホテル&レストラン夢工房にてシェフをされている松原さん。その施設内に「鶴居の小さなケーキ屋さん」をオープンしたのは、コロナ禍の最中のこと。苦境を乗り越えオープン出来たのは、役場をはじめ村の皆さんから多くの応援があったといいます。気持ちに応え、鶴居らしいケーキで村の人を喜ばせたいと、特産のチーズや蜂蜜を使ったり、鶴居の景色をイメージしたケーキを手掛けています。鶴の恩返しならぬ、ケーキの恩返しですね。

「鶴居村のケーキをつくる」ということは、村の自然や暮らしを見つめ、共に生きることそのものに繋がっている―。夢工房の裏は森になっており、そこに住む野鳥・シマエナガもケーキのモチーフになりました。当初は期間限定の予定でしたが、ファンの声もあり看板メニューに。ひとつひとつ手作業で描くシマエナガの表情を変えるなど、松原さんのケーキからは自然を楽しみ、いつくしむ心が感じられます。

花や木や動物たちと共にある、松原さんの暮らし。今後は、パティシエとして地域の皆さんを喜ばせる一方で、より多くの人に鶴居村の魅力を届けられるよう、地域外販売やネットショッピングを展開するのが目標だといいます。最近の朝の日課は、テラスに集まってくる鳥たちに餌を与えながら、今後の戦略を練ることだそう。ただボーっとしているように見えると思いますが、と笑う松原さんです。