お客様同士を繋ぐキャンプ場経営者

鶴の里キャンプフィールドオーナー
小田桐 守
釧路市出身。鶴居村幌呂にある創業40年の芝農家、(有)甲斐建販の3代目社長。釧路で33年間タクシーの運転手として働いたのち、2021年12月に義理の両親が経営する(有)甲斐建販を引き継ぐ。現在は芝の販売に加えて、「鶴の里キャンプフィールド」の運営など複数の事業を行っている。

人と人が交流できる場所を目指して。芝農家からキャンプ場運営の挑戦

「キャンプ場を始めたのは、パークゴルフ場があった場所を知人に貸したことがきっかけ」と小田桐さんは語ります。芝の生産・販売を生業としてきた(有)甲斐建販が、本業の傍らパークゴルフ場の経営を始めたのは16年前でした。オープン当初はパークゴルフブームで大勢のお客様が訪れていましたが、人口減少や新型コロナの影響で徐々に客数が減っていったと言います。そんな時、鶴居村の知人に「BBQをするのにパークゴルフ場の跡地を貸して欲しい」と頼まれました。知人がその様子をインスタグラムに投稿したところ、アウトドアショップ「EHAB(イーハブ)」の目に留まり、「ぜひイベントをやらせて欲しい」と依頼があったのだそう。SNSで瞬く間に噂が広まり、利用者が増えたため昨年9月に「鶴の里キャンプフィールド」をプレオープンしました。

「もともとキャンプは得意な分野ではなかった」と語る小田桐さん。どうすればキャンプ場が成功するかと悩み、様々なキャンプ場を視察していた時のこと。あるベテランキャンパーに「成功の鍵はオーナーの人柄だよ」と言われ、ハッとしました。それ以来、小田桐さんはキャンプ場を訪れる1人1人のお客様に、朝晩挨拶をするようになったと言います。「キャンプ用品の話をきっかけに、私が別々の団体の間に入ってお話をしていると、お客様同士の交流が生まれるんです。それが嬉しくて。『あのキャンプ場に行くとキャンパーが仲良くなれるよ』と、徐々に口コミが広がりました」。キャンパー同士が交流するきっかけになればと昨年開催したのが「キャンプ用品のフリーマーケット」。2日間で300人以上が来場し、鶴居村でのキャンプ場経営の可能性を感じました。

鶴の里キャンプフィールドの魅力は、「35,000平方メートル、サッカー場およそ5個分」という広大な芝地と交通の便の良さ。釧路湿原国立公園に隣接しながら、鶴居温泉や鶴居村市街地からも近く、鶴居村の自然に気軽に触れることができます。また、鶴の里キャンプフィールドでは通年キャンプを楽しめます。マイナス20℃の厳しい世界で朝を迎える達成感を得たり、家族でかまくらや雪の滑り台を作って遊んだり……。「鶴居村の豊かな自然を身近に感じながら、冬キャンプならではの醍醐味を味わってもらえたら」と小田桐さんは微笑みます。

昨年12月に社長に就任してから半年が経ち、キャンプ場を運営する中で「人と人とを繋ぐこと」に喜びを感じているという小田桐さん。これまでは釧路から通勤していましたが、鶴居村市街地への移住を予定しています。「鶴居村は人口2,500人ほどの小さな村だけど、農業・商業・観光業とみんな活力がある。こんなに個々が頑張っている村はない。そんな村で事業をやっている以上、僕も頑張っていきたいね」と強く語ります。鶴居村での小田桐さんの挑戦はこれからも続きます。